退去費用を保証会社が勝手に払った?同意なしで進む理由と対処法
暮らしはじめ編集部|約15分で読めます
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結論、退去費用を保証会社が勝手に払ったように見えても、多くのときは違法ではありません。契約したときの書面に、あらかじめ「同意がなくても保証会社が立て替えてよい」という約束が入っていることが多いからです。ただし払われたからといって、請求された金額をそのまま受け入れる必要はありません。
「なぜ保証会社が先に払ってしまうのか」「これは違法ではないのか」「払わないとどうなるのか」。検索の裏にはお金と信用に関わる不安があるはずです。
この記事では、弁護士ドットコムへ寄せられた同じ悩みの相談と、弁護士の回答をもとにせいりしました。しくみのたとえ話、契約書の見るべきところ、納得できないときにできること、放置したときの注意点まで順番に紹介します。
結論:退去費用を保証会社が勝手に払われたとき、まずやること
- 保証会社が勝手に払うこと自体は、契約書の特約があれば違法ではないと考えられている
- ただし請求金額の正しさが自然に決まるわけではない。金額に納得できないなら争う余地は残る
- まずやることは①契約書の特約をたしかめる ②請求の根拠(内訳)を書面で求める ③支払いを止めるのではなく異議を伝えるの3つ
- 放置すると遅延損害金が増え続け、保証会社の種類によっては信用情報に記録されるときがある
ここから先は、じっさいに弁護士ドットコムに寄せられた相談と、弁護士の回答をもとに書いています。法律の断定はできない部分があるため、詳しくは専門家への相談を前提にお読みください。
何が起きているのか|保証会社は「立て替えて払う会社」だった
- 「保証会社が勝手に払った」の正体をたとえ話で理解する
- なぜ本人の同意がなくても手続きが進むのか
家賃保証会社は、ひとことで言うと「あなたの代わりに、大家さんへお金を立て替えて払う会社」です。家賃を滞納したときだけでなく、退去費用が支払われないときも、保証会社が立て替えて先に払うことがあります。
立て替えて払った分は、そのまま消えるわけではありません。あなたへの請求に変わります。
この「立て替えて払うこと」を代位弁済(だいいべんさい)と呼びます。立て替えた分を返してほしいという請求は求償(きゅうしょう)です。むずかしい言葉ですが、意味は「立て替え払い」と「その返済請求」だけです。
なぜ同意なしに進むのか
多くの人が驚くのは自分が金額に同意していないのに、保証会社が先に払ってしまうという点でしょう。この疑問に、弁護士ドットコムでじっさいに弁護士がこう答えていました。
つまり「同意しない限り保証会社は動かない」という約束が特約に無い限り、保証会社は先に払えるという考え方です。契約書のどこにその約束が書いてあるかをたしかめることが、最初の一歩になります。
契約書のどこを見ればいいか|言葉をたとえ話で言い換える
入居のとき交わした「保証委託契約書」という書類に、代位弁済についての条件が書かれていることが多いです。専門用語のままだと意味が取りにくいので、まずは日常の言葉に置き換えます。
| 契約書の言葉 | ひとことで言うと |
|---|---|
| 保証委託契約書 | 「もし家賃や退去費用が払えなかったら、保証会社が代わりに払っていいですよ」と、入居のときに認めた書類 |
| 代位弁済 | 保証会社があなたの代わりにお金を払うこと(立て替え払い) |
| 求償・求償権 | 立て替えた保証会社が「払った分を返してください」とあなたに請求する権利 |
| 特約 | 契約書だけの個別ルール。ここに退去費用の負担条件が書かれていることが多い |
▶ まずたしかめたいのは「代位弁済についての特約」があるかどうかです。無ければガイドラインの考え方が判断材料になるでしょう。
退去費用の金額まではっきりと書かれていない特約は、後から争える余地が大きいようです。逆に金額まではっきりした特約に同意していたとき、支払い義務そのものを争うのはむずかしくなることもあります。
じっさいにあった相談の声|「勝手に払われた」を弁護士に聞いた人たち
ここからは、同じような状況で弁護士ドットコムに相談した人たちの声と、弁護士の回答を紹介します。状況はそれぞれ違っても、悩みの根っこは共通しているようです。
この相談に対する、弁護士の回答を見てみましょう。
協議中に代位弁済が行われてしまった、この相談への回答です。
「保証会社が払った=金額が正しいと決まった」わけではない。ここが、次の章の「できること」につながります。
納得できないときにできる3つの方法
- 金額に納得できないときに、じっさいにできる3つの行動
保証会社が先に払ってしまった後でも、何もできなくなるわけではありません。弁護士ドットコムでも、こう回答されていました。
①内訳の根拠を書面で求める
「修繕工事一式」のような、まとまった金額だけの請求は根拠が見えません。何にいくらかかったのか、内訳のわかる書面を求めましょう。電話だけのやり取りは、後から「言った言わない」になりやすいので避けたほうが安心です。
②保証会社と大家、どちらに言うべきか整理する
代位弁済のあとは、請求の相手が管理会社・大家から保証会社に移ります。ただ、そもそもの金額が妥当かどうかは、契約の当事者である大家・管理会社との話が出発点です。両方に「争っている」ことを伝えておくのが安全でしょう。
③支払いを止めるのではなく、争っていることを文書で伝える
「払わなければ済む」と考えて連絡を無視するのは危険です。無視は「請求を認めた」と受け取られかねません。メールや書面で、争っている事実とその理由を伝えておきましょう。
とはいえ、契約書や請求の内訳を自分だけで読み解くのは簡単ではありません。
知恵袋の実例では、個人の弁護士事務所に1時間半だけ相談して1万5千円かかったケースもありました。
理想は、まず費用のかからない公的な窓口で状況をせいりしてもらい、必要なら弁護士へ進むことです。
もし今、請求書を前に何から手をつければいいか分からないなら、消費者ホットラインに一度話してみてください。
業者側の種明かし|なぜ争っている最中でも払ってしまうのか
「まだ話し合っている途中なのに、なぜ保証会社は先に払ってしまうのか」と感じる人は多いはずです。そこには、保証会社というしごとのしくみが関わっています。
保証会社は、大家さんや管理会社から見れば「家賃や退去費用をたしかに受け取るためのしくみ」でしょう。支払いがないという届けがあれば、細かく調べずに立て替えてしまう会社もあると、退去費用のトラブルにくわしい行政書士のサイトにはそうありました。立て替えたあとは管理会社の手を離れ、保証会社とあなたの間だけの問題になるためです。
この構造を知っておくと、「管理会社と話している最中でも、保証会社側への対応を並行して進める必要がある」と分かります。片方だけと話していても、もう片方のてつづきは止まらないおそれがあるからです。
とはいえ、管理会社と保証会社の両方を相手にするこうしょうは、1人で抱えるには荷が重いものです。
今回は退去費用でしたが、次に別の部屋を借りるときも、保証会社は自分で選べません。
理想は、次に契約するときに保証会社のしゅるいも含めてたしかめられる状態にしておくことです。
もし今回のことで保証会社というしくみ自体が気になったなら、しゅるいごとの違いをせいりした記事も見ておくと役立ちます。
保証会社のしゅるいによる違いを知っておきたい人へ
保証会社には信販系・独立系などのしゅるいがあり、審査の傾向や信用情報へのえいきょうの出方も変わると言われています。
→ 賃貸の保証会社審査に通らない理由と対策を見る
放置するとどうなるか|遅延損害金と信用情報への注意
- 払わずに放置したときに増えるお金
- 信用情報への影響は保証会社の種類で違うこと
遅延損害金は【編集部試算】でこう増える
賃貸トラブルを扱う弁護士事務所の解説記事には、契約書に遅延損害金の計算方法が定められているのがよくあるとありました。式は「退去費用×年利率×延滞日数÷365日」です。
【編集部試算】退去費用10万円・年利14.6%(賃貸契約でよく見かける利率の一例)で放置したとしましょう。100,000円×14.6%×30日÷365日で計算すると、約1,200円が30日ごとに積み上がります。元の金額に納得できないまま放置すると、争う理由とは別のお金が増えていきます。
信用情報への影響は「保証会社の種類」で変わる
「ブラックリストに載る」とひとくくりには言えません。この点も、弁護士ドットコムでじっさいにこう回答されていました。
えいきょうの有無は、保証会社のしゅるい・どの信用情報機関に加盟しているかで変わるということです。心配なら、契約している保証会社の名前をたしかめ、信用情報機関やその保証会社の窓口へ直接たしかめましょう。
あなたはどのケース?状況分岐でチェック
ここまでの内容を自分に当てはめるのはむずかしいものです。近いケースを探してみてください。
「傷があれば払う」という趣旨のサインと「この金額で払う」というサインは別物です。署名の中身をもう一度確かめ、金額には同意していないと書面で伝えましょう。
先回りして慌てる必要はありません。契約書の特約を今のうちにたしかめ、管理会社とのやり取りは記録の残る形(メール・書面)に切り替えておきましょう。
払った金額そのものが正しいと決まったわけではありません。「争っている最中だった」というじじょうを保証会社にも伝え、正当と考える金額を主張しましょう。
弁護士の回答にあったとおり、全額を支払う必要はありません。管理会社に主張していた反論を、そのまま保証会社にも伝え直しましょう。
知恵袋に見る、他の人はどうしたか
弁護士ドットコムだけでなく、Yahoo!知恵袋にも似た相談が多数寄せられています。じっさいの体験談を読むと、自分だけの問題ではないと分かるはずです。
この質問をした人は、その後こう振り返っていました。
弁護士への個別相談は、思っている以上に費用がかかるときがあります。まずは無料の公的窓口から動くのが現実的でしょう。
よくある質問
気になるものだけ拾い読みしてもらってもかまいません。
Q. 退去費用を保証会社が勝手に払うのは違法ではないですか?
A. 契約書に代位弁済についての特約があれば、違法ではないと考えられています。特約が無いときはじじょうが変わることもあります。
Q. 保証会社から退去費用を請求されましたが、納得いかないときは払わないとどうなりますか?
A. 無視を続けると遅延損害金が増え、最終的に裁判になることもあります。払わないのではなく、争っていることを書面で伝えましょう。
Q. 代位弁済に納得いかないとき、裁判になりますか?
A. こうしょうで解決しないとき、少額訴訟や債務不存在確認訴訟に発展した実例があります。まずはこうしょうと公的窓口への相談が先です。
Q. 内容証明を送れば代位弁済は止まりますか?
A. 代位弁済が行われる前なら、保証会社に「原状回復について承諾していない」と伝えるしゅだんとして使われることがあります。払われた後はこうかが限られます。
Q. 保証会社からの請求は信用情報にえいきょうしますか?
A. 保証会社のしゅるいによります。クレジットカード会社系はえいきょうが出やすく、不動産会社系でも一部の会社は信用情報機関に加盟しています。契約している保証会社へ、直接聞いてみるのがいちばん早いでしょう。
まとめ:まず契約書と請求の中身をたしかめる
- 保証会社が勝手に払うこと自体は特約があれば違法ではない
- 払われた後でも金額そのものが正しいと決まったわけではない
- できることは①内訳を書面で求める ②保証会社と大家の両方に伝える ③争っていることを文書で残すの3つ
- 放置すると遅延損害金が増え、保証会社の種類によっては信用情報にも関わる
「勝手に払われた」と分かった瞬間は驚くと思います。でも、そこで終わりではありません。契約書の特約をたしかめ、請求の中身に納得できないなら、その理由を書面で伝えることから始めてみてください。
とはいえ、契約書のどの条文が特約にあたるのか、内容証明はどう書けばいいのか、自分だけで判断するのは不安が残ります。
ここまで見た3つの方法を試しても解決しないなら、次は相談先を選ぶ番です。
理想は、賃貸トラブルに詳しい窓口へ、契約書と請求書を用意して相談してみることでしょう。
もし今回の請求について、結局どこに相談すればいいか迷っているなら、賃貸トラブル専門の相談窓口も見ておくと安心です。
この請求、結局どこに相談すればいいか知りたい人へ
公的な窓口・弁護士・行政書士など、相談先にはいくつもしゅるいがあり、できることと費用が違います。窓口ごとの使い分けをせいりしました。
→ 退去費用の相談先の選び方を見る
請求が届くタイミングが気になる人は「退去費用の請求はいつ来る?」も参考にしてください。今後また保証会社の審査を受ける人は、「賃貸の保証会社審査に落ちた後の動き方」もあわせてご覧ください。


